大きな企業と小さな企業のどちらがいいのか?Web Director's Handbook by Kei
Webディレクターとしての成長を目指すとして、大きな企業と小さな企業、どちらに就職した方が良いのでしょうか?
1. ブラック企業である確率から考える
まず、「ブラック企業である確率」から考えれば、小さな企業、それも常時働く人が10人以下の零細企業の方が圧倒的に高いといえます。
というのも、小さな企業は就業規則や従業員の評価基準が無いなど、会社の制度が整っていることが少なく、どうしても社長1人の価値観でワンマン経営されがちです。
そうなると、その社長1人の性格や方針に賛同できなければ、「ブラック企業だ」と感じやすくもなってしまいます。
また、小さな企業の場合、労務の知識のある人材はおろか、社長が「労務制度を整える必要がある」ことすら知らず法令違反をしていて、結果としてブラックになっている場合もあります。
ある程度人数のいる企業(50人程度以上)であれば、たいていは総務や労務の部署があるので、そのあたりはきちんと整備されていると考えて良いでしょう。
もちろん、数人規模の会社でも、優秀な少数精鋭のメンバーできちんとやりくりしているところもありますし、逆に大企業でも組織的にブラックな行為を行っていることもありますので、あくまで確率で考えた場合の話です。
Webサイトの会社概要には、アルバイトなどを人数にカウントして「実際より人数が多い」会社に見せかけている場合もあるので、「常勤で何人オフィスにいるか」と面接時に聞いてみると良いでしょう。
ちなみに私は(結構人数のいる会社だったのですが)強制的に休日出勤させておいて、全員に『学習のために自主的に出社しました』と無理矢理に署名をさせるというのも経験しました。
・・・完全なブラックですね。(笑)
2. 成長速度から考える
少人数の会社は、たいていは業務が分業化されておらず、一人ひとりが、雑用を含めた様々な種類の仕事を行わなければいけません。
また、業務フローもきちんと整えられていないケースが多いので、個々の裁量が大きくなります。
このように、人数が少なく会社の仕組みが未整備であるがゆえ、やろうと思えば大きな仕事も任せてもらえる可能性が高いので、考え方によっては短期間で多様な仕事を体験でき、一気に成長できる環境であると考えられます。
ただし、属人性が強く、チームワークや従業員の管理が機能していない会社の場合、自分自信で仕事量の把握ができていないと、オーバーワークになってしまうこともあります。
自己管理能力に自信がない場合は、そのあたりを慎重に見極めた方が良いでしょう。
逆に、人数の多い会社の場合は、管理体制に加えて、教育制度やOff-JTなどもしっかりしているので、無理な業務量で体を壊したりすることは少ないといえます。
また、社内の部署や職種が豊富であればキャリアパスも描きやすく、長期のキャリア形成を考えやすい点もあります。
しかし、大きな企業であるがゆえ、県外への転勤を命じられたり、希望の部署に何年も配置されないということもあります。
じっくりと確実に成長したいのであれば大きな企業、多少強めの負荷を自分にかけて、一気にスキルを高めていきたいのであれば小さな企業という感じでしょうか。
私は大きい企業も小さい企業も経験しましたが、どちらも「自分のやりたい業務」がやれないケースはありますし、仕事とはたいていそういうものです。(まぁ、どんな仕事も真剣にやれば楽しいです)
しかし、大きい企業から小さい企業に行った時に感じたのは、『毎日、同じ同僚数人としか合わない環境になるので、もっと自主的に勉強会や交流会にいかないと視野が狭くなる危険性がある』ということでした。
その点、大きな企業では毎日、先輩や部下、新人など、多くの同僚やお客さんと交流があったので、自然と様々な考え方に触れ、視野が広がっていたという利点に気づきました。
3. 会社の規模ではなく自分の求めるものから考える
また、現実的には大きな企業ほど、求める人材の能力も高く、就職のハードルが上がるというのも事実です。
自分のスキルや経歴によっては、大きな企業は高望みになる場合もありますので、自分が働く上で「求めるものは何なのか?」をきちんと整理した上で、就職・転職活動に臨みましょう。
あなたが会社に求めるものは何か?
たいてい、働く上で「会社に求めるもの」となれば以下のような項目があがると思います。
- 給与
- 仕事の内容
- 人間関係
- ワークライフバランス
- 通勤時間
しかし、上記すべての項目に対して「あなたが100%満足できる職場」というのはかなり希だと思います。
なので、上記の項目の中であなたが「最重視する項目」や「譲歩できる項目」など、優先順位を決め、その順位となるべくマッチする職場を見極めて就職活動をしていくことで、会社選びに失敗する可能性を下げられると思います。
まとめ
私的には、就職先の会社は大小(会社の人数)だけで判断するのではなく、設立年月日や従業員の平均年齢なども考慮にいれるべきだと思います。
やはり設立年月日が浅い企業ほど社内制度に関しては未整備ですし、従業員の平均年齢が若すぎる場合、人の入れ替わりが激しく能力の高いベテラン社員が少ない会社だと予測できるからです。
このように、会社概要の全般の情報と、様々なサイトの情報を見て総合的に判断するのが、見極めるということかと思います。
また、残念ながら、入社後に「自分には合わない会社風土だ」「ブラック企業だった」と判明した場合は、さっさと見切りをつけてしまうことも大事です。
もちろん、できればその会社で実績を積んだ上で次を目指したいところですが、会社によってはそれすら叶わない状況のところもあると思います。
そのような成長の機会が無いところでくすぶっていると、もっとも大事な資産である「あなたの時間」をどんどん失ってしまいます。
場合によっては、転職回数が増えることになってしまいますが、クリエイティブな業界は人材の流動性も高い業界なので、きちんとスキルや実績を身につけていけば、転職回数もさほど大きな障害にはなりにくいでしょう。
実際、その会社が「ブラック企業」かどうかは入社した人の感じ方にもよります。
「まったく不満な点がない会社」というのもほぼ無いと思いますので、厳しい会社だとしても、自分の目標をきちんと定めておけば、ステップアップのための職場として、非常に良い環境になることもあります。
私が元いた結構ブラックな会社では、「優秀だな」と思っていた人は、今では全員もっと良い会社に転職するか、独立起業を果たしています。
Web関係はクリエイティブな業種なので、独立する人も多く、厳しい会社を踏み台にして飛躍していく人は多いのかもしれません。